「簡単な計算は合っているのに、分数と小数が混ざった途端にミスをする」
「見直しなさいと言っても、本人は『どこが違うのか分からない』と言う」
お子さんの計算ノートを見ながら、そんなふうに感じたことはありませんか。
何度注意しても直らないと、親子ともに疲れてしまいます。
「うちの子は注意力が足りないのかな」
と、心配になる方も多いと思います。
複雑な計算でのミスは、不注意や性格の問題ではなく、
計算の手順が「まだ体に入りきっていない」
ことで起きている場合が多いです。
この「手順を体に入れる力」を、
雙葉進学教室では「計算体力」と呼んでいます。
この記事では、次の4点をお伝えします。
- 計算ミスが起きる場所を、5つの工程に分けて見る方法
- 小4で習う「計算の順序」で、実際にどれくらいの子がつまずいているか
- 中1の数学で、計算ミスがなぜ大きな壁になるのか
- 計算体力を、どんな量・頻度・区切りで鍛えればよいか
「簡単な計算は合うのに、複雑になると間違える」その正体
まず、よくある場面を3つ挙げます。
- 「1/2 + 1/3」は解けるのに、小数が混ざった式になると手が止まる
- かっこの中を先に計算するはずが、左から順に計算してしまう
- 途中までは合っているのに、最後の1行で符号や小数点を間違える
どれも、1つひとつの計算は習ったことのある内容です。
それでも間違えてしまうのは、
手順が増えるほど、頭の中で同時に気をつける点が増える
からです。
花まるグループ スクールFCの松島先生は、
計算ミスが多い場合の主な原因は練習不足だと述べています。
基礎が固まらないまま学年が上がると、
どこかで必ずつまずきます。
そして、いくら時間をかけてもミスが増え、
やがてやる気を失う悪循環に入ってしまう、
という流れも指摘されています。
ここで大切なのは、
「ケアレスミス」
という言葉で片付けないことです。
ケアレスミスと呼んでしまうと、打ち手が
「もっと注意しなさい」
しかなくなります。
しかし、原因が練習不足、つまり手順が自動化できていないことだとすれば、打ち手は
「どの手順が弱いかを見つけて、そこを重点的に練習する」
に変わります。
計算ミスは「5つの工程」に分けると見えてくる
では、どの手順が弱いのかを、どうやって見つければよいのでしょうか。
おすすめは、ミスを
「5つの工程」
に分けて見ることです。
間違えた問題に、次のどれに当たるかを印として付けてみてください。
- 順序:足し算と掛け算が混ざったとき、どちらを先に計算するか
- かっこ:かっこの中を先に計算し、その後の手順を正しく続けられるか
- 通分:分母をそろえる作業を、迷わず正確にできるか
- 小数点:掛け算・割り算で、小数点の位置を正しく決められるか
- 符号:マイナスがついたとき、符号を正しく処理できるか
具体例を見てみましょう(例題は編集部で作成しました)。
- 順序:6+0.5×2 を左から計算して「13」と答えてしまう(正しくは7)
- かっこ:12−(3+2)×2 で、かっこの後の掛け算を忘れる(正しくは2)
- 通分:1/2+1/3 を「2/5」と答えてしまう(正しくは5/6)
- 小数点:0.3×0.4 を「1.2」と答えてしまう(正しくは0.12)
- 符号:中1で出てくる −(3a−5b) を「−3a−5b」としてしまう(正しくは −3a+5b)
1週間ほど印を付け続けると、
「うちの子は小数点の工程に集中してミスが出ている」
というように、弱い工程が見えてきます。
弱い場所が分かれば、
練習も絞れます。
全部をまんべんなくやり直すより、
はるかに効率的です。
左から順に計算して13、正しくは7。小4で習う「順序」のつまずき
5つの工程の中でも、特に見落とされがちなのが「順序」です。
計算の順序は、小学4年生で初めて習います。
「かっこの中が先」
「足し算・引き算より、掛け算・割り算が先」
というルールです。
簡単そうに聞こえますが、
全国の調査では、定着に課題があることが示されています。
鳥取県の指導資料では、
全国学力・学習状況調査の平成19年度の結果として、
計算の順序を問う問題で、左から順に計算して「13」と答えた誤答が
13.3%あったと紹介されています。
先ほど挙げた「6+0.5×2」を左から計算して13としてしまうのと、
同じ型のミスです。
13.3%という数字は、一見すると小さく感じるかもしれません。
しかし、これは
当時の小学6年生の約7〜8人に1人
が、順序のルールを使いこなせていなかったということです。
さらに、この問題には小数が含まれています。
「順序」と「小数」という2つの要素が重なると、
ミスは起きやすくなります。
簡単な計算なら合うのに、
複雑になると間違える。
その理由は、
要素が重なるほど、1つひとつの手順を
意識的に思い出す負担が大きくなるから
です。
手順が体に入っていれば、
考えなくても正しく進められます。
これが「自動化」です。
中1の「計算のOS」:正負の数・文字式で何が起きるのか
小学生のうちに計算を固めておきたい最大の理由は、
中学1年の数学にあります。
中1の数学は、最初の単元から
「正負の数」と「文字式」が登場します。
ある学習塾の解説では、
この2つはその後の3年間、さらに高校数学まで使い続ける
「計算のOS」
だとされています。
ここでミスが頻発すると、
どれだけ論理的に考えても、最終的な答えにたどり着けません。
典型的なミスが、マイナスがついたかっこの外し方です。
- −(3a−5b) を、−3a−5b としてしまう
- 正しくは、かっこの中のすべてにマイナスを掛けて、−3a+5b
これは、先ほどの「符号」と「かっこ」の工程が重なったミスです。
小学生のうちに2つの工程を固めておけば、中1で慌てずに済みます。
また、中1の数学は、小学算数と違って、
負の数や文字式という目に見えない抽象的な概念が最初から登場します。
All Aboutでは、正負の数でつまずく理由として、
小数や分数の計算そのものが苦手なことが挙げられています。
つまり、中1の数学では、
「新しい概念を理解すること」と
「計算を正確に処理すること」を同時にこなす
必要があります。
小学校の計算が自動化できていれば、
頭のエネルギーを新しい概念に使えます。
逆に、計算に気を取られていると、
新しい概念の理解が追いつきません。
さらに、小学校のテストは
「できたことを確認するテスト」
ですが、中学校のテストは
「差をつけるためのテスト」
に変わります。
同じ単元でも、計算の正確さとスピードの差が、
そのまま点数の差になります。
愛知県の公立高校入試の数学も、
例年、基本から標準レベルを中心に、
幅広い範囲から出題されると分析されています。
出題される単元には、正の数・負の数、文字と式、式の計算などが並びます。
難問に挑む前に、基礎計算を落とさないこと
が、得点の土台になります。
計算体力は「量・頻度・区切り」で育つ
では、計算体力はどのように鍛えればよいのでしょうか。
ポイントは3つあります。
① 量:弱い工程を、繰り返す
先ほどの5つの工程のうち、
弱い工程を絞り込んだら、
そこを重点的に練習します。
同じ型の問題を、少しずつ数字を変えて繰り返すことで、
手順が体に入っていきます。
② 頻度:毎日、短くてもよいので続ける
計算は、毎日くり返すことで定着すると、
学校の家庭学習の手引きにも書かれています。
週末にまとめて長時間やるより、
毎日の短い練習のほうが定着しやすいと考えられています。
③ 区切り:集中が切れる前に終わる
子どもの集中力は、長くは続きません。
ベネッセの実証実験を紹介する記事では、
集中力は40分程度しか持続しない可能性が示されています。
また、RISUの今木氏は、1問がすぐ終わる仕組みは集中しやすい一方、
細切れすぎると集中が高まる前に終わってしまうため、
1回の学習で20分程度のまとまった時間は確保したいと述べています。
つまり、
集中が切れる前にゴールが見える長さに区切りつつ、
必要な量はきちんと積む
ことが大切です。
家庭で取り組む場合は、次の3つを試してみてください。
- 毎日、同じ時間に10分だけ、弱い工程の問題を解く
- 途中式を省略せず、1行ずつ丁寧に書く
- 間違えた問題は、翌日にもう一度解き直す
途中式を丁寧に書くことは、
ミスを減らすだけでなく、見直しやすくなるというメリットもあります。
1枚10分のeトレで、計算の精度とスピードを積み上げる
ご家庭だけで、弱い工程を見つけ、適切な問題を用意し、
毎日続けるのは大変です。
雙葉進学教室では、eトレを使って、この
「量・頻度・区切り」
を教室で実現しています。
eトレには、次のような特徴があります。
- 問題プリントは、1枚あたり10分程度で解ける分量
- 30万ページ・125万題という問題データベースから、その子に合ったプリントが選ばれる
- 得点に応じて、次のプリントが自動的に選ばれる
- 基準に届かなければ、類題でやり直し
1枚10分という区切りは、
集中が切れる前にゴールが見える長さ
です。
1枚終わるたびに「できた」という感覚が積み重なり、
続けて取り組む意欲にもつながります。
弱い工程があれば、そこを重点的に繰り返せます。
得意な部分を何度もやり直すような無駄がありません。
そして雙葉進学教室では、ただ問題を解かせるだけではありません。
指導歴40年の塾長が、数学教育の専門家として、
「なぜその手順になるのか」
から丁寧に教えます。
公式や手順の丸暗記ではなく、意味を理解したうえで、
eトレの反復演習で手順を体に入れていきます。
理解と反復の両方がそろうことで、
計算の精度とスピードを着実に高めていけます。
「中学で数学トップになる」
「半田高校・横須賀高校などの上位校に合格する」
という目標に向けて、
小学生のうちに土台を完成させておく。
それが、中学で伸びる準備になります。
まとめ:中学で数学を嫌いにならないために、今できること
最後に、この記事の内容をまとめます。
- 複雑な計算でのミスは、不注意ではなく、手順の自動化不足であることが多い
- ミスは「順序・かっこ・通分・小数点・符号」の5つの工程に分けると、弱い場所が見える
- 小4で習う計算の順序でも、左から順に計算した誤答が13.3%あった(平成19年度)
- 中1の正負の数・文字式は「計算のOS」。小学生のうちに固めておくと、新しい概念の理解に力を使える
- 計算体力は、量・頻度・区切りを設計して育てる
「うちの子は、どの工程でミスをしているのだろう」
と思われたら、まずはお気軽にご相談ください。
雙葉進学教室では、お子さんの計算の様子を一緒に確認する学習相談と、
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