「うちの子、算数は得意なんです。テストもいつも90点以上で」
そう話す保護者の方が、中学1年の秋に、こんな相談をされることがあります。
「数学の点数が、急に下がってしまって…。公式は覚えているはずなんですが」
小学生のうちは順調だったのに、中学に入った途端に数学で苦戦する。
そんな話を耳にして、「うちの子は大丈夫かな」とふと不安になった経験はありませんか。
小学生のうちに「算数が得意」に見える子ほど、
実は「公式の丸暗記」で乗り切っている場合があり、
その学び方は中学数学で通用しなくなります。
なぜそうなるのか。
最新の全国データと具体例を交えて、お伝えします。
「算数が得意だから、中学も大丈夫」その安心が、いちばん危ないかもしれません
小学校のテストは、授業で習った解き方をそのまま使える問題が中心です。
- 公式を覚えている
- 似た問題のパターンを見たことがある
- 解き方の手順を再現できる
この3つがそろっていれば、高得点が取れてしまいます。
だから、
丸暗記で乗り切っている子も、
理解して解いている子も、
点数だけを見ると区別がつきません。
ところが中学数学では、状況が一変します。
覚えるべき公式や定理の数は限られているのに、
その使われ方が非常に多岐にわたるのです。
問題と解き方をセットで丸暗記しようとすると、
膨大な数のパターンを覚えなければならなくなり、
どこかで限界がきます。
そのとき起きるのが、こんな状態です。
- 公式は覚えているのに、どれを使えばいいか分からない
- 見たことのない形の問題が出ると、手が止まる
- 解き方の方針そのものが立たない
これは、努力不足でもセンスの問題でもありません。
「覚える」ことで勝負してきた学び方が、
中学数学の問われ方と合わなくなっただけ
なのです。
中学数学で問われるのは「解ける力」ではなく「説明できる力」
小学校の算数と中学校の数学では、問われ方が大きく変わります。
- 小学校:正しい答えを出せるか
- 中学校:なぜその式になるのかを、筋道立てて説明できるか
たとえば、中学数学では「証明」という単元が登場します。
ある事柄が常に成り立つことを、
根拠を示しながら論理的に説明する力が求められます。
関数の単元でも、
グラフから読み取った内容を、
言葉で説明する問題が出されます。
つまり中学数学とは、
答えを出すだけでなく、答えに至る理由を言葉にする教科
なのです。
だからこそ、小学生のうちから
「なぜそうなるのか」
を考える習慣がついているかどうかが、
中学入学後の伸びに大きく影響します。
ご家庭で、簡単に確認する方法があります。
お子さんが問題を解き終えたあと、答え合わせの前に、こう聞いてみてください。
- 「どうしてその式にしたの?」
- 「この数字は、何を表しているの?」
- 「別のやり方でも、同じ答えになりそう?」
すらすらと自分の言葉で答えられれば、
理解が伴っているサインです。
「えっと、習ったから…」
と詰まってしまう場合は、手順だけを覚えている可能性があります。
叱る必要はありません。
今のうちに気づけたこと自体が、大きな収穫
です。
全国学力テストが示した、「説明」になると正答率が下がる現実
この傾向は、2026年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のデータにも、はっきり表れています。
まず全体の平均正答率です。
- 小学6年生の算数:56.6%
- 中学3年生の数学:57.4%
そして注目すべきは、問題の形式ごとの差です。
中3数学では、次のように正答率が下がっています。
- 選択式:59.6%
- 短答式:64.6%
- 記述式:39.6%
「選ぶ」「答えだけ書く」のであれば解けるのに、
「説明する」形式になると、
正答率が大きく下がるのです。
さらに具体的な問題を見てみましょう。
動画の秒数とデータ量がほぼ比例するグラフを見せ、
「1000メガバイトで撮影できる動画の秒数」の求め方を、
「x座標」「y座標」という言葉を使って説明させる問題がありました。
この問題の結果は、次のとおりです。
- 正答率:34.5%
- 無解答率:39.0%
つまり、約4割の生徒が、何も書けなかったのです。
比例のグラフの読み方を知らなかったのではなく、
それを言葉にして説明することができなかったと考えられます。
小学6年生にも、同じ傾向が見られます。
長さの違う白と赤のテープが6ペア並んでいて、
「赤が白の1.5倍の長さのペア」を選ぶ問題がありました。
この正答率は34.5%にとどまり、
「2の1.5倍は3.5」
と考えてしまう誤答が多く見られたと報じられています。
1.5倍とは何を意味するのか。
この「意味」を理解していなければ、
公式やパターンを覚えていても、
場面が変わると対応できません。
台形の面積の公式、「なぜ」を説明できますか?
ここで、保護者の方も一緒に考えてみてください。
小学校で習う台形の面積の公式は、こうでした。
(上底+下底)×高さ÷2
この式を覚えている方は多いと思います。では、こんな質問に答えられるでしょうか。
「なぜ、上底と下底を“足して”、さらに“÷2”するのですか?」
実は、この公式の意味は、台形をもう1つ逆さまにして横に並べてみると、すぐに分かります。
- 同じ台形を逆さにして、横にくっつける
- すると、大きな平行四辺形ができる
- その底辺は「上底+下底」、高さはそのまま
- 平行四辺形の面積は「底辺×高さ」
- 台形は、その半分だから「÷2」
この説明を一度でも自分の頭で追って納得した子は、公式を忘れにくくなります。
「だから式の中に、上底+下底があるんだ」
と分かっているからです。
一方、「そういう公式だから」と丸暗記した子は、
少し時間が経つと忘れてしまったり、
見慣れない形の図形が出たときに応用できなかったりします。
公式を「覚えている」ことと、「分かっている」ことは、別物
なのです。
そして、この差は小学校のテストの点数にはほとんど表れません。
表れるのは、中学に入って、見たことのない形の問題や、
理由の説明を求められる問題に出会ったときです。
そのときになって慌てるより、時間に余裕のある小学生のうちに、
「なぜ」を考える経験を積んでおくほうが、
お子さん自身の負担もずっと小さくて済みます。
理科の化学変化も、小学算数の「比」の理解が土台になる
この「理解の差」は、算数・数学だけの話ではありません。
中学2年の理科(化学変化)では、こんな計算問題が出てきます。
- 銅を加熱すると、銅:酸素:酸化銅の質量比は 4:1:5
- マグネシウムを燃やすと、マグネシウム:酸素:酸化マグネシウムの質量比は 3:2:5
そして、
「銅1.2gを完全に酸化させると、酸化銅は何gできるか」
といった問題を、比例式(4:5=1.2:x)を立てて解いていきます。
この単元は、高校入試にもよく出題される重要単元です。
ここで必要になるのは、小学5・6年生で学ぶ「比」と「割合」の本質的な理解です。
- 4:1 という比は、何と何の関係を表しているのか
- 比の一方を2倍すると、もう一方はどうなるのか
- 比例式は、なぜその形で立てられるのか
こうした意味が分かっていないと、質量比の計算は
「呪文のような暗記作業」
になってしまいます。
実際、「どの2つの物質を比べればいいのか」を見つけて、
比の計算に落とし込む手順を丸暗記して乗り切ろうとする子も少なくありません。
しかし、実験の条件が少し変わると、
とたんに解けなくなってしまいます。
中学3年のイオンなど、さらに複雑な計算が登場する単元でも、同じことが起きます。
つまり、
小5・小6の算数で「なぜそうなるのか」を理解できているかどうかが、
理科を含む中学の学習全体の土台
になっているのです。
数学教育の専門家が教える、算数の本質と面白さ
では、小学生のうちに、どうやって
「なぜ」を考える力を育てればよいのでしょうか。
雙葉進学教室の塾長は、数学教育学の修士号を持ち、
教員免許も保有する、数学教育の専門家です。
指導歴は40年にのぼります。
長年の指導で見えてきたのは、
「算数が好きな子」と「算数が苦手な子」の違いは、才能ではなく、
算数の面白さに出会えたかどうか
にあるということです。
公式を覚えるだけの算数は、正直なところ、あまり面白くありません。しかし、
- 「なぜこの式になるんだろう」と考える
- 図を描いて、自分の頭で確かめる
- 別の方法でも同じ答えになることに気づく
こうした経験を重ねると、
算数は一気に「謎解き」のような面白さを持ち始めます。
雙葉進学教室では、公式の丸暗記ではなく、
算数の本質から丁寧に教える専門指導
を大切にしています。
そのうえで、eトレによる反復演習で、
理解したことを確実に定着させていきます。
小学生のうちに「なぜ」を考える習慣を身につけておくこと。
それが、中学数学、そして理科まで含めた学習全体の、大きな強みになります。
「うちの子は算数が得意だから大丈夫」
と思っているご家庭ほど、一度、お子さんの理解の深さを確かめてみてください。
まずは、雙葉進学教室の無料体験授業・個別学習相談で、
お子さんが「なぜ」を考えながら学べているかどうか、確認してみませんか。
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